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「無名」こそ「美」

2019年5月12日

 「無名」にまつわるエトセトラ。
 昨年の今頃、俺っちはここに、1本の拙いギター弾き語り?動画を公開しました。実は、あれ、紅白歌合戦で歌われた曲なんです。でも、これを読んでくれているほとんどの人が、そんなことは覚えていないように思います(俺っちの拙さを差し引いたとしても)。あの後、あちこちで公然と弾き始めた頃は、誰の曲か?がバレて笑われたりして…なんて、おっかなびっくりだったけど、そんなことは杞憂で、紅白歌合戦で歌われたところで、「無名の曲」として「安心して」弾けることがわかってきました。
 「無名の曲」というのは、とても良いことで、「つくった人のイメージ」みたいなことで誤解されたりすることがなく、率直な感想を受け取ることができ、思いの外、ご年配のおじいさんやハタチくらいのかわいこちゃんに「いい曲!」なんて言われたりすると、ホントに嬉しい気持ちになります。
 これを読んでくれている人の中には、今さら、そんな人なんていないとは思いますが、J-POPなんて、自分が「有名」と思っている曲なんて、ほとんどが「無名」と思った方がいいので注意しましょう。実際に、つい先日、近所の音楽カフェでお話しさせていただいた、かなりの現場をこなしてきたであろう、実力派のドラマーの方に、昨年の紅白歌合戦で3曲も(!)自分がつくった曲が披露された米津玄師さんですら、名前の読み方を「げんし」と間違われていたりするくらいなのですから…。だから、Mr.Childrenのファンをやっているくらいで、自分のことを「普遍的な価値観の持ち主」と思い込んだりするのは、勘違いにも程があります。

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相変わらず、話が脱線しました。

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 「無名」こそ「美」。いつか弾いてみたいと思っている譜面があります。武満徹編曲の「ギターのための12の歌」という譜面です。文字通り12曲あるのですが、弾く曲は1曲に決めています。「ロンドンデリーの歌」です。トラディショナル?作者不詳?とにかく「誰が口ずさみ始めたのか?は、わからないけど、曲だけが残ってしまいました、どうしましょう!」みたいな曲です。
 ギリシャの彫刻とかピラミッドとか縄文土器とかも(この間、書いた)「時に磨かれ感」がハンパないです。「時に磨かれすぎて作者がわからなくなってしまいました…!」みたいな…。さっき、庭先で揺れている花がキレイだなと思ってインスタグラムに上げてみたのですが、当たり前だけど、そういう「花」に「作者」なんているはずがなくて、「作者はわからなくなってしまいましたが、美しさだけが残ってしまいました…」みたいな表現って、「庭先の花の美しさに一歩近づいてしまいました…」みたいな?凄みって言うの?俺っちが二十歳で描いた「美の設計図」って、不遜すぎるけど、そういう「美」なんだと思います。
 ただ、これも当たり前ですが、たまたま通りかかった人が庭先に咲いている花を観て、「美しいから」と「観覧料」みたいなものを払ったりはしません。つまり、「経済」は、「無名のままでは」お金と仲良くさせてはくれない面があるらしい、ということです。
 と言うか、そろそろ皆、「有名であることは、どちらかと言うと、面倒くさいことが多いこと」に気づいた頃じゃない?皆、そんなに有名になりたい?「お金と仲良くしたいから仕方なく」じゃなくて?
 話が最初に戻りますが、その曲をつくった人は、こういうことを全部わかってやっていたのだと思います。